日日猫好日だより vol.4

2023.9.23〜9.29のできごと
うた子 2023.09.30
誰でも

ひたすらにパンを焼く

養命酒の横にあるのがフードプロセッサー

養命酒の横にあるのがフードプロセッサー

先日、満を持してフードプロセッサーを買った。いきなり話がそれるけれど、わたしにはあまり「買ってしまった」というモノがない。思わず買ってしまった、魔がさしてつい買っちゃったというよりは、欲しいと熱望して買うことのほうが断然多い。即決するときも「今必ず買いたい」と思って手にいれるので、だいたいのモノが買いたくて買ったモノになる。

フードプロセッサーは半年悩んだ。そもそもなぜフードプロセッサーかというと、パン生地をこねる機能に心ひかれたからだ。もちろん最初はホームベーカリーを検討した。食パンも焼けて、生地もこねられる、パン作りに特化した機械はとても魅力的だったけれど、価格と本体サイズの大きさがネックとなり断念した。パンを気軽に作りたいという気持ちが持続的なものであると言い切る自信もなかった。

ほかになにかよいものはないかと調べているうちに、どうやらフードプロセッサーでパン生地をこねられるらしいことがわかった。コンパクトで価格もまずまず、パン生地をこねるだけでなく刻む・混ぜる・する・砕く・泡立てる・おろすなどの調理にも対応している。これなら、パンを作るのに飽きても使い道がある。最高だ。今なら「すぐ買おう」と言う。でも、検討中のわたしは案外用心深い。「パンを作る余裕があるのか?」「今までなくても困らなかった機械が本当に必要か?」などと自分に問いかけ、寝かせ、また問いかけるを繰り返し、機が熟すのを待った。そして、厳しい暑さがすこしだけやわらぎ、朝夕が涼しくなってきた頃、ようやくそのときが訪れたのだった。

フードプロセッサーが届いた翌日、早速ベーシックな丸パン生地を作ってみた。説明書に記載されているとおり、おおよそ2分で柔らかくてなめらかなパン生地ができた。拍子抜けするほど簡単に。一次発酵、ベンチタイム、二次発酵ののち190℃のオーブンで15分焼くと、外はややカリッ中はもちもちふわふわ、ほんのりバターが香るやさしい甘みのパンができあがる。パンが焼けるときのあのなんともいえない幸福が家中に広がり、帰宅した家族が「ああ〜いいにおい」とよい顔で言う。買ってよかった。やはり買うべきモノだったと思った。

それ以来、朝食にこのパンを食べたいという18歳と、間食にこのパンを持っていきたいという16歳のために、毎日毎日同じ丸パンを焼いている。不思議なことに、同じレシピで作っていても毎日すこしずつ違ったふうに焼きあがる。ちょっとした温度や水加減の違いで、ふんわりしていたり、もちっとしていたりしておもしろい。強力粉を使い切ったら、次は準強力粉を買ってきてハード系パンに挑戦してみたいと思っている。

今週の献立帳(9/23〜9/29)

9月23日(土)

フードプロセッサーの置き場所を確保するべく、朝からキッチンカウンターの整理をした。いつもは年末にやるストック食品の賞味期限切れチェックもついでに。棚の奥から長男が赤ちゃんの頃に作ってもらった名入れスプーンとフォークが出てきて、しばし思い出にひたる。

昼兼おやつ:おはぎ(きなこ、黒ごま)

夜:もんじゃ焼き、豚ひき肉とひじきの混ぜごはん

9月24日(日)

夫といつもの書店めぐりへ。早々に買い物を済ませ、ベンチで読みながら待っていようと思っていたら迷子に遭遇する。迷いつつも声をかけ、連れ立って店内を一周してみるも見つからず...あまり知らない人と一緒に歩かせるのもどうかと思い、あとを店員さんに託して別れた。洋書フェアでお安くなっていた『The Best Place in the World』という絵本を購入したので、休みで家にいた18歳に訳しながら読んでもらった。とても素敵な絵とストーリーだった。出会えてよかった。

午後からフードプロセッサーでパン生地を作り、丸パンを焼いた。簡単でおいしい!最高だ。

昼:焼きビーフン(ハリッサ添え)

おやつ:丸パン

夜:コロッケ、レタス、コールスローサラダ、舞茸ステーキ、麩とわかめの味噌汁、丸パン

9月25日(月)

水曜日を休養日にするため、原稿をごりっごりに進めた。夕方、疲れた頭を冷やすために庭に出てぼんやり空を眺める。ここは家の庭だし、草の上に寝転んでもいないけれど、空に吸われし四十五の心、と思った。タイムラインで『福田村事件』の話題をみて、近所の上映スケジュールをチェック。うちのあたりは10月から。必ず観に行く。

昼:茄子と甘唐辛子のっけ丼

夜:鶏むね肉のポッサム(レタス、きゅうり)、野菜たっぷり餃子スープ、雑穀ごはん(写真にはないけれどチリコンカン)

9月26日(火)

仕事帰りにいつもの直売所で野菜を買う。今はあまり野菜が出ていない時期のようで、地元産じゃない野菜が大半を占めていた。もう少ししたら秋の野菜がたくさん出てくるはず。楽しみに待ちましょう。

昼:チリコンカン、とろけるチーズ、サニーレタス、雑穀ごはん

夜:揚げ塩鯖のおろし和え、ひじき煮、チリコンカン、さつまいもとわかめの味噌汁、雑穀ごはん、きゅうりの出汁浅漬け

9月27日(水)

朝、電気ポットの掃除からはじまるキッチン掃除をした。酢水(湯)で拭きあげるとキッチンも気持ちもすっきりする。毎日使う場所なのですぐに汚れるんだけれど、一旦リセットすることが自分にとっては大切と思う。午前中のうちに役所関連の用事を済ませ、業務スーパーで足りないモノを買う。

午後、急にあんぱんを作りたくなって、いそいそと小豆を買いに行く。ホットクックなら2時間半でつぶあんができる。できあがったつぶあんがおいしすぎたので、団子を作って食べた。肝心のあんぱんは中身が出てしまったけれどおいしくできた。16歳の感想がとてもやさしく、うれしいものだったのでこちらにも書いておく。

「おれ、このあんぱん好きだわ。あんこの量がちょうどいい。おれめちゃくちゃあんこが好きというわけでもないから外であんぱん買うことないんだよね。店のってパンよりあんこの方が多いじゃん?ああなると甘すぎるんだよね。しかもこのあんこ、あんまり甘すぎないから食べやすい。まじでうまい」

昼:買ってきたのり弁(めちゃくちゃおいしい)

ホットクックで作ったつぶあん

ホットクックで作ったつぶあん

たまらず団子を作ってあんこをのせて食べた

たまらず団子を作ってあんこをのせて食べた

あんこが飛び出たあんぱん

あんこが飛び出たあんぱん

おやつ:自家製つぶあんをのせた団子、あんぱん

夜:鶏ひき肉とニラの塩つくね、サニーレタス、とうやのソテーとチリコンカン、きゅうりの出汁浅漬け、卵とわかめの味噌汁

9月28日(木)

朝夕の涼しさが心地よい。うちは山の上に家があるため、天気予報よりも若干気温が低く、秋が来るのも町より少し早い。午前はのんびり過ごしてしまったので、午後は気合を入れて仕事を進めた。今日も夕空が美しかった。

昼:鶏ひき肉とニラの塩つくね、とうやのソテー、チリコンカン、きゅうりの出汁浅漬け、雑穀ごはん、黒ごま

夜:鶏マヨ、ポテトサラダ、葉大根のナムル、卵とわかめの味噌汁

9月29日(金)

今日は中秋節。お昼頃、前期の終業式だった16歳から「成績が上がった!」と連絡がくる。彼は指定校推薦という制度を使って受験する予定なんだけれど、目標としていた評定平均を少し上回っていてホッとしたようだ。成績のことで連絡があるなんて今までなかったので余程うれしかったのだろう。ほんとうは月見団子を作る予定だったけれど、今日くらいは好物を作ってあげようと思い、バナナケーキを焼いた。

夜、朝から雲が多い空模様だったので心配したけれど、大きな満月を眺めることができた。わたしの好きなひとたちが、美しい金曜日の夜をおだやかな気持ちで過ごせますようにと願った。

昼:鶏マヨ、葉大根のナムル、ポテトサラダ、雑穀ごはん

おやつ:なかしましほさんのバナナケーキ

夜:トマトチキンカレー(中秋の名月バージョン)

本棚から1冊

著者のサイン入り

著者のサイン入り

「本棚から1冊」では、我が家のあちこちにある本棚から1冊を選んで、その本にまつわるエピソードや内容を紹介します。

最初に紹介するのは『霧のむこうのふしぎな町』。作者は柏葉幸子さんで、わたしが生まれる前に発表された古い作品です。はじめて読んだのは、小学校の図書室。物語は、主人公のリナがひとりで静岡から東北地方へ遊びに行くところからはじまります。小学生だったわたしも同じようにひとりで岩手県の親戚宅へ行って夏休みを過ごしていたので、まるで自分のことのように思いながら読みました。

迷いながらようやく辿りついた「霧の谷」はすこし風変わりな雰囲気の美しい町。ユニークで個性豊かな住民たちと一緒に暮らしながら、リナは「働く」ということを通じてさまざまなことを学んでいきます。自分で考える、そして行動する。大人になって読んでみると、また違う風景やメッセージがみえてくる大好きな作品です。

著者:柏葉幸子

画家:杉田比呂美

講談社

最近読んだ本の感想はこちらから読めます。

跳躍前のナッツ

跳躍前のナッツ

次回の日日猫好日だよりは、10/7(土)に配信予定です。

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