日日猫好日だより vol.5
『福田村事件』を観た
金曜の夜に映画『福田村事件』を観てきた。20時すぎの回だったせいか、観客はわたしを入れて全部で5人ほど。もともと小さめの箱だったとはいえ、それにしても...という少なさだった。ちなみに観客の年齢層は高めで、みな男性ばかり。若い人はひとりもいなかった。
1923年9月1日11時58分、関東大地震が発生した。そのわずか5日後の9月6日のこと。千葉県東葛飾郡福田村に住む自警団を含む100人以上の村人たちにより、利根川沿いで香川から訪れた薬売りの行商団15人の内、幼児や妊婦を含む9人が殺された。行商団は、讃岐弁で話していたことで朝鮮人と疑われ殺害されたのだ。
「朝鮮人だったら殺してええんか」
おまえら朝鮮人だろうと疑う在郷軍人や村人たちと、この人たちは日本人だから手を出してはいけないと止める人たち。永山瑛太が演じる行商団の頭は、そこにいる全員に向かって大きな声をあげる。その言葉は、映画を観ているわたしの心には強烈に響いたけれど、そのあとに起こる惨劇を防ぐことはできなかった。顔を背けたくなるようなシーンの連続を、目を見開いて焼き付ける。しっかりと、刻みつける。そうなるだろうと予測はしていたものの、その衝撃と痛みはわたしの想像をはるかに超えるものだった。
実は、この映画が話題になるまで、実際に起きた事件についてなにも知らなかった。でも、たとえ事件の概要を知っていたとしても、映像でみるほど鮮烈には人々の不安、恐怖、そして異常さを感じることはできなかっただろうと思う。
武器を手に持った大勢の人たちが自分を取り囲み、口々におまえの話し方はおかしい、朝鮮人だろう、殺せ!殺せ!と詰め寄ってきたらと想像するだけで、恐ろしくてたまらない。もっと怖いのは、加害者の人たちも普通に暮らす普通の人たちだということだ。つまりそれは、少し違えばどちらの立場にもなりうるということで、じゃあわたしは、極限の状況になったときどう行動するのか、いったい何ができるのか、映画に登場するどの人のようでありたいか、どの人のようでありたくないか、そのためにはどうすればよいのか。そのことを、今もずっと考えている。
今週の献立帳(9/30〜10/6)
9月30日(土)
朝いちで、去勢手術のため入院していたヨルくんを迎えに行く。したくを待っているあいだ、にゃおにゃお鳴く大きな声が待合室にまで聞こえてきて、居合わせたひとたちから笑いがもれる。ヨルくんは家に帰るなりトイレへ行き、ごはんをもりもり食べ、家中を走りまわっていた。あと少しで生後10ヶ月。ほんとうにあっという間だった。
夜は家族が熱望していたピェンロー。今シーズンはいったい何回ピェンローを食べることになるだろう。10回...いや、もっとかな。
昼:トマトチキンカレー、チンするごはん(コシヒカリ)、ポテトサラダ
夜:ピェンロー、雑穀ごはん
10月1日(日)
日曜恒例の書店めぐりへ。書店へ向かう車中で夫といろんなことを話す時間が好きだ。楽しく話しつつ、道っぱたでくつろぐ山羊に挨拶することも忘れなかった。
正直、毎週同じ書店に行っているので、棚の内容はそんなに大きく変わらない。でも不思議なことに、目につくタイトル、手に取る本は毎回違う。自分のそういう小さな変化を知れるのも書店をめぐる楽しみのひとつだなと思う。今週は『ミッパンチャン』『虹いろ図書館のへびおとこ』『古本食堂』を購入した。
昼:牛すき月見バーガーセット
夜:サムギョプサル
10月2日(月)
朝から爽やかな秋晴れ。気持ちよい。仕事なんてほっぽりだして、空を見上げてごろごろしていたいと思いつつ出勤する。昼は由比缶詰所のツナ缶で、ツナのっけごはんに。缶をあけたときからよいにおいがする。肉厚で、味わいがしっかりとしていて、油まで飲み干せそうなおいしさ。最高だ。
大豆を水に浸して寝る宣言をするも、すっかり忘れて元気よく睡眠。いつも夫に「やれやれ」と言われるんだけれど、少しだけ気持ちがわかった。
昼:まぐろ油漬(ファンシー)、グリーンリーフ、玉ねぎ、雑穀ごはん、ピェンローの残り
夜:牛豚しぐれ煮、とうやと鳴門金時の素揚げ、由比のツナ缶ファンシー、厚切りれんこんのきんぴら、わかめと大根の味噌汁、雑穀ごはん
10月3日(火)
朝いちばんに大豆を水に浸す。前日に2週間分の献立を考えて買い物メモを作っておいたので、仕事が終わったあと買い出しへ。あちこちまわるつもりでいたため、昼は車中で簡単に済ませ、大量の食材を購入して帰宅。よれよれになりながら肉などを小分けにして冷凍し、ホットクックで大豆を蒸した。ホットクックで味付きの料理をすることはほとんどないが、蒸したり茹でたり炊いたりといった、シンプルだけどすこし面倒...という調理で大変お世話になっている。蒸したばかりの大豆は甘くておいしい。
昼:車のなかでパンを食べた(写真なし)
おやつ:蒸し大豆
夜:鶏肉の甘辛炒め、グリーンリーフ、きゅうりと豚バラの炒め物、おつまみ大豆
10月4日(水)
しとしと雨降り。タイムラインで話題になっていた「おにぎりアクション」に参加するため、昼は残っていたごはんをおにぎりにして食べた。毎食というわけにはいかないけれど、できるときにはおにぎりを作って(あるいは買って)写真を投稿しようと思う。
普段は豆を好んで食べないひとたちが、それぞれに「これはおれが好きなやつだ」といって、おつまみ大豆を食べていたのがおもしろかった。子どもたちは給食で好きだった思い出のメニュー、夫は見た目でおいしいとわかるのだそう。でもこれ、揚げ焼きにしてタレをからめたばかりの、できたてが一番おいしいのよね。そんなに好きなんだったら、今度は家族がいるときに作ってあげようと思った。
昼:わかめと大根菜のおにぎり(白ごま・黒ごま)、きゅうりと豚バラの炒め物、鶏肉の甘辛炒め、おつまみ大豆、お茶は「きりぎりすとあり」
夜:無水肉じゃが、ほうれん草ナムル、さつまいものきんぴら、おつまみ大豆、卵とわかめの味噌汁、雑穀ごはん
10月5日(木)
休養日。朝から心身ともに調子がいまひとつだったので、最低限の家事だけを済ませてゆっくり過ごすことにした。
自分の好きなこと、好きなもの、好きなひとなどについて語るときに、それ以外のものを否定したり比較してくさしたりするひとが苦手だ。それがダメだとは言わないし、間違っているとも思わない。ただただ嫌いなのだ。そして、自分が好きなもの、必要としているもの以外を「要らない」と言うひとも嫌いだ。あなたにとって必要なものが誰にとってもそうであるかなどわかるものか。世の中には、あなたにとって不要なものに価値を見出すひとがたくさんいるのだ。言葉は、思慮深く選びたい。
昼:山わさび塩焼そば
夜:鶏つくね、さつまいものきんぴら、ひじき煮、きゅうりの出汁浅漬け、わかめとじゃがいも(メークイン)の味噌汁
10月6日(金)
昼はスーパーののり弁。実は、さまざまなところで売られているのり弁が好きだ。一番好きなスーパーののり弁はヤマカの、これはフジスーパーの。フジスーパーのは卵焼きがとてもおいしかった。
夕方に歯医者、夜に映画を観にいくため、昼ごはんを食べたあとすぐに夜ごはんのしたくに取りかかる。にんじんナムル、もやしナムル、エリンギナムル、豚ひき肉のそぼろ、歯医者から帰宅したあと、ごはんを炊いてキムチ豆腐チゲを作り、あわただしく夜ごはんを食べて出かけた。
映画の前にスタンダードプロダクツで少し買い物をする。欲しかった鍋用の器と、火にかけられる皿を購入。帰宅後、福田村事件についての記事を片っ端から読み漁り、いろんなことをぐるぐると考えながら眠りについた。
昼:スーパーののり弁
夜:ピビムパプ、キムチ豆腐チゲ
本棚から1冊
我が家のあちこちにある本棚から1冊を選んで紹介する「本棚から1冊」。今日紹介するのは、『黒ねこサンゴロウ 1 旅のはじまり』です。
この作品は全部で10巻ある「黒ねこサンゴロウシリーズ」の第1作目。最初に出会ったのは図書館の児童書コーナーでした。クールな黒猫の絵にひかれて手に取り、ぱらぱらと読みすすめているうちに独特の世界にぐいぐい引き込まれ、気づけば閲覧コーナーの小さな椅子に座って最後まで読んでしまった思い出の作品。
語り口は淡々としてて、派手さはひとつもないんだけれど、じんわりと心をつかまれるような。そして、「宝さがしは、みつけるまでの、わくわく、どきどきがいいんだ。みつけちまったら、それでおしまいだ。」などと、かっこういいことをサラッと言うサンゴロウの魅力に、いつのまにかどっぷりとはまってしまう。静かな名作だと思っています。
実はこの作品、子どもたちも大好きで、夜寝る前に1章ずつ読み聞かせていました。もしかしたら、彼らはもう覚えていないかもしれないけれど、わたしがその時間や彼らの表情をしっかり覚えているからそれでいい。いつの日かこの本を手に取って「うわあ、懐かしいな」と思い出す日がくるかもしれない。なんてことを考えながら、また本棚へ。
作:竹下文子
絵:鈴木まもる
偕成社
リビングの本棚にあります
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箱が大好きなヨルくん
次回の日日猫好日だよりは、10/15(土)に配信予定です。
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