日日猫好日だより vol.19
ちくわぶ
ちくわぶぜんざい
数日前に、生まれてはじめて「ちくわぶ」を食べた。福岡で生まれ育ち、学生時代を神戸で過ごしたわたしにとって未知の食べものだった「ちくわぶ」。食べてみてどうだったかというと、パッケージに書かれているとおり、小麦粉の味がした。
なぜかSNSでは定期的に「ちくわぶ」が話題にのぼる。主におでんの話とセットになっていて、たいてい年に1回くらいはちくわぶの情報を目にする。そのため、実際に食べたことがなくても、「こういう味の、こういう食べもの」と思い込み、食べたことがあるような気持ちになって満足していた。わざわざ買ってまで試す必要がありそうかといわれるとそうでもなさそうな意見が多かったし、どうしても食べたいという気持ちにはならなかったのだ。
ところが、今回は違った。関東に住んでいて、スーパーへ行けば普通に手に入る。別に高いものでもない。その気があればすぐに試せる環境に身を置いているのに、他人の感想を鵜呑みにして手を出そうとせず、「まあ、こんなもんだろう」と決めつけている自分が嫌になってしまった。なんておおげさなと思うかもしれない。でも、目の前にある低いハードルを避けて通ってばかりいたら、越えなければならないものを前にしたときに動けないような気がしたのだ。いや、ほんと、おおげさだなと思うんだけど。
ちょうど鏡開きの時期で(ちなみに我が家はもうずいぶん前から鏡餅は省略している)粒あんを炊いてあったので、ちくわぶを薄く切って水で洗い、粒あんと水と少しの塩で煮込み、ぜんざいにして食べてみた。食感はもちもちしていて、味は特に主張がない。腹持ちはよさそう。餅のような粘りがなく、のどに詰まらせる心配がなさそうという意味で、小さい子どもや年配の方でも安心して食べられそうだと思った。今回はそのまま入れたが、少し焼いて表面をこんがりさせると香ばしさがアクセントになっておいしそう。そのほかにも、みたらしだんご風にしたり、きなこ餅風にしたり、いろんなアレンジができそうだと思った。
今後も定期的に食べたいとか、大好きになったというわけではない。でも、ずっと想像上の食べものだった「ちくわぶ」について、自分なりの感想を持てた意義は大きい。
このくらいのことはスキップするかのように自分自身で跳び越えていく。そんな風に、身も心も軽やかでいられたらいいなぁと思う。
今週の献立帳(1/7〜1/13)
1月7日(日)
2024年になってはじめてのニュースレターを出す。去年の9月からはじめて、今回が通算18通目。今書いておきたいことをとりあえず言葉にしてみる、というのを毎週こつこつ続けているわけだけど、自分にとってはとてもよい習慣になっている気がする。読んでくれるひとがいる、というのもありがたいことだ。
夜:鶏団子と白菜の鍋
1月8日(月・祝)
十数年ぶりに夫と映画を観に行った。最後に観たのは子どもたちと一緒に行ったドラえもんの映画だった気がする。『PERFECT DAYS』は、ヴェンダースとロックを愛する夫にとってど真ん中だった様子。わたしはルー・リードと、The Animalsにしびれた。また映画を観に行こうねと言い合えたことがとてもうれしい。
夫が夜ごはんのトンカツを揚げてくれているあいだに、わたしはきな粉カステラを焼いた。
きな粉カステラ
すばらしい焼き目
どうしても姿勢が悪くなる
しっとりとしていて、きな粉の風味がふわっと広がる。とてもおいしくできてうれしかった。カステラは2度目だけれど、あらかたマスターしたような気がしている。今度は抹茶カステラを作ってみようかなと思う。
夜:トンカツ、万能塩蒸しキャベツ、じゃがいもとわかめの味噌汁、雑穀ごはん
1月9日(火)
仕事帰りに直売所へ寄る。年末年始は人が多すぎて店に入れなかったので。ようやく日常が戻ってきた感じがしてうれしい。
夜:キムチ豆腐、ひじきふりかけ、切り干し大根のペペロンチーノ、カリカリじゃこ大豆、黄芯白菜の味噌汁、雑穀ごはん
1月10日(水)
ぬか漬けをはじめることにした。これまで何度かチャレンジしたことがあったけれど、長続きしなかった。今回はなんとなく続けられそうな気がしている。
購入したのは、金沢大地さんの「わたしのぬか床」。漬けたいものさえ用意すればすぐにはじめられるのがよい。とりあえずきゅうりを漬けてみた。
16歳の忘れ物を学校まで届けたあと、ドライブしたい気持ちになって少し遠めのスーパーまで足をのばした。めんどくさい用事で出かけることになったが、結果的に満足して帰宅できたのでよし。こういうふうに、小さく気持ちを切り替えながら過ごすと大きな不満につながりにくくていいなと思った。
夜:焼き塩鮭、豆腐グラタン、おから煮、カリカリじゃこ大豆、ぬか漬けきゅうり、わかめと玉ねぎの味噌汁、雑穀ごはん
1月11日(木)
1日中原稿に向かっていた。できれば今日中に目処をつけ、明日には入稿したい。ガッと集中して書いたので、思いのほか早めに切り上げられた。
はじめて作ったおから蒸しパン
自家製粒あん入り
あっつあつの頭を冷やすために、仕事を終えてすぐにおから蒸しパンを作った。簡単なのにおいしい。蒸しパンってこんなにすぐできるんだねぇ。
昼:おから煮、カリカリじゃこ大豆、切り干し大根のペペロンチーノ、ぬか漬けきゅうり、ひじきふりかけ入り卵かけごはん
夜:和風ポークビーンズ、おから煮、じゃこ大豆、切り干し大根のペペロンチーノ、雑穀ごはん、ひじきふりかけ
1月12日(金)
出勤前に表がざわざわしているなと思ったら、わりと近くで黒煙が上がっていた。近く見えるけれど実際は少し遠いはず、でもあのあたりは子どもたちの友達の家がたくさんあるところでは...などと心配しながら家を出た。詳細はわからないが、かなり大変な火事だったようだ。
無事入稿した頃に19歳が帰宅。ユニクロに服を受け取りに行くというので、ドライブがてら出かけることにした。今回はなんとレディースMサイズのパンツを買ったそうだ。どんだけ細いんだ。わたしの肉を分けてあげるよ。などと軽口を叩きながら帰った。
朝:ぜんざい(餅ふたつ)
昼:19歳用の夕弁(和風ポークビーンズ、青椒肉絲、ぬか漬けきゅうり、雑穀ごはん、梅干し)
夜:豆腐と大豆のドライカレー、雑穀ごはん、ぬか漬けきゅうり、キムチ
1月13日(土)
朝、家事をあらかた済ませたあと、夫とふたりで散歩へ出かけた。うちのまわりには林や森に入っていける小道がわりとあって、子どもたちが小さい頃はよくみんなで散策に出かけていた。その頃の記憶をたどって1本の小道に入って行ったところ、だんだんと草木やいばらが足にからみつくように生い茂り、しまいには倒木で前に進めなくなってしまった。しかたなく引き返し、表の道に出たらふたりともひっつき虫だらけ。気持ち悪い!チクチクする!と言い合いながら大笑いした。まるで外遊びから帰ってきた子どものようなわたしたちだった。これからはもう、わたしの「この道を行くとあそこにつながっていたはず」は信用してもらえなさそうだ。
昼:おから煮、キムチ、いかの塩辛、じゃこ大豆、パックごはん、ひじきふりかけ
夜:ピェンロー
心に刻みたい言葉
確かにそうなのだ。生きていれば良いことも悪いこともある。良いことだけを手にすることはできないし、悪いことばかりが転がっているわけでもないのだ。うんと良いことはなくてもいいから、小さな良いことを積み重ねて、小さな悪いことを乗り越えていけたらいいなぁと思う。14pの1がピッてなってしまったのが今日の小さな悪いこと。
やどかり風のヨルくん
次の日日猫好日だよりは、1/21(日)に配信予定です。
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