日日猫好日だより vol.2
靴下を編む
急に思い立って、毛糸の靴下を編むことにした。寒い冬を楽しく過ごせるような、明るい色をたくさん使ったカラフルな靴下がほしくて。作り方を調べているうちに出会ったのが『ベルンド・ケストラーのスパイラルソックス』という本だった。表紙をみて「これかも!」と思い、試し読みしたあとにその思いは確信へと変わった。すぐにこの本と好みのソックヤーンを注文し、わたしは靴下を編みはじめた。
小さい頃から自分の手を動かして何かを作ることが好きだった。当時は、作りたいものを作る方法について簡単に調べられるような時代ではなかったし、唯一の情報源である学校の図書室にはいわゆる子ども騙しのようなハウトゥー本しかなく、何もかもが手探りだった。作っていたものはお世辞にもおしゃれとは言えないものばかりだったけれど、毛糸の玉からマフラーができたり、1枚の布からティッシュケースができたりするのはうれしかった。何かを作っているときは1人でいてもさみしくなかったし、何かができあがったときには小さな達成感を得られた。大人になってからは、ときどきワンピースを縫ったり、バッグを編んだり。趣味といえるほどではないものの、作りたいときに作りたいものを作って楽しんできた。
編み物はひさしぶりで、子どもたちが小さい頃にニット帽を編んだのが最後だったと思う。編み方を覚えているかとても心配だったけれど、編み始めてみると考えるよりも先に手が動いた。ああこれが身体の記憶というものか。わたしたちの身体にはさまざまな記憶が宿っていて、ふとしたときに顔を出す。そう考えると、自分の身体をどう扱うか、どのように動かすかが大事に思えてくるし、あまりおろそかにしていてはならないなと思う。
靴下の進捗はというと、現在片足の半分程度。ごはんが炊けるのを待つ間とか、寝る前の30分とか、ちょっとしたすきまの時間に編み進めている。家族と今日のできごとを話したり、会社の人の愚痴を聞いたりしながら。編み目をずらす段のときだけ、まちがえないように。集中と分散をくりかえしながらひたすら編む。ときどき目を落としそうになってヒヤッとすることもあって、なんだか編み物って人生のようだなと思ったりする。
今週の献立帳(9/9〜9/15)
9/9(土)
朝、夫と協力して家の掃除をする。16歳に合わせて早めの昼をとり、送った帰り道にいつもの直売所へ。じゃがいも、栗(再び)、しいたけ、里芋、茄子、甘唐辛子などを購入する。
昼:塩レモンラーメン
おやつ:草だんご
夜:焼き鯖の混ぜ寿司、ひじき煮、冷やしトマト、豆腐とわかめの味噌汁
9/10(日)
いつもの書店めぐりへ。『賢治と「星」を見る』という本を見つけて欲しくなったけれど、この日は別の本を買う予定だったので泣く泣くあきらめた。欲しい本を好きなだけ買えるお金はもちろんだが、置くスペースがもっとほしい。午後からは夫と庭仕事をして、汗だくになる。夜のうちにゴミ出しをして穏やかな日曜日が終わる。
昼:チーズ月見バーガーセット
夜:トンカツ、焼き茄子の出汁醤油かけ、ピーマンのきんぴら、きゅうりのあごだし浅漬け、ひじき煮、男爵とわかめの味噌汁
9/11(月)
突然、毛糸の靴下を編みたい!と思い立つ。ブルースカイのみなさんに後押しされる形で、本とソックヤーンを購入。「今だ」と感じたときのフットワークの軽さが好きだ。
昼:トンカツ、焼き茄子の出汁醤油かけ、ひじき煮、もち麦ごはん、きゅうりのあごだし浅漬け(新しい弁当箱に詰める練習を兼ねて)
夜:鮭と男爵のソテー、しいたけのガーリックチーズ焼き、甘唐辛子の焼き浸し、豆腐とわかめの味噌汁
9/12(火)
18歳用に購入した弁当箱が詰めやすくてよい。縦にしても「もれにくい」のが売りだそうで、とはいえ信用しすぎてもおそろしいので汁気の少ないおかずを詰め、ビニールでひと包みしたうえで専用ポーチに入れている。防げる事故は防いだほうがよい。
昼:鮭と男爵のソテーチーズがけ、がんもとマー坊茄子の煮物、ひじき煮、雑穀ごはん、明太子
夜:豚こまと男爵と茄子の味噌炒め、切り干し大根とれんこんのキムチ炒め、チリコンカン
9/13(水)
休養日。家のことは朝のうちに済ませて、ドラマやYouTubeを流し見ながらひたすら靴下を編む。午後からは新型栗くり坊主で栗を剥いて、夜ごはんの下ごしらえをし、またひたすら靴下を編んだ。よい1日だった。
昼:チリポテト
夜:秋味のローストチキン(鶏もも、とうや、栗、紫芋、にんにく)、チリコンカン、サニーレタス、雑穀ごはん
9/14(木)
じゃがいものストックがゼロになってしまい、なんとも心許ないので午前中のうちに直売所へ。11時台の直売所は平日でも混む、という学びを得た。普段の買い物をしている人というより、少し遠くからわざわざ来た人の方が多そうな感じだった。帰り道、いつもの並木道は紅葉がまた少しすすんでいたし、庭のコナラの木の下にはどんぐりが落ちていた。
昼:スーパーで買ってきた炒飯弁当
夜:麻婆豆腐、回鍋肉
9/15(金)
朝から16歳とひともめ。ひさしぶりに最悪の気分だったが仕事をしたり、夫とLINEでやりとりしたりしているうちに落ち着く。今日は無理せずに過ごすと決めて夕寝したあと、ものすごい雷と雨の音で目覚める。16歳とは和解しました。
昼:回鍋肉、3種の麦ごはん(パック)
夜:スープカレー(鶏もも、きたあかり、鳴門金時、マー坊茄子、ピーマン、ゆで卵)、雑穀ごはん
今読んでいる本
『清少納言を求めて、フィンランドから京都へ』
作:ミア・カンキマキ
訳:末延弘子
草思社
最近読んだ本の感想はこちら。
次回の日日猫好日だよりは、9/23(土)に配信する予定です。
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