日日猫好日だより vol.11
好きとか嫌いとか
公開するのも憚られるようなメモ
わたしはてっきり、自分が「好きなものや嫌いなものが似ているひとと仲良くなりやすい性質」なのだと思っていた。といっても、それについてあまり深く考察したことはなくて、なんとなくそんな感じなんだろうな、例外もありそうだけど、くらいの認識でいた。ところが最近、どうやらそうではなさそうだぞと思うことが増えてきた。あまりにも多いものだから、腰をすえてじっくり考えてみることにした結果、きっぱりとそうではないと確信した。今日はそのことについて書いてみようと思う。
考えていた内容はざっとこんな感じ。好きなものや嫌いなものについて楽しく話せるひとがいる一方で、同じものを好きだと言っているのにどうしても共感できないひとがいる。同じものを嫌いなひとが発している言葉に居心地の悪さを感じることがある。それはなぜだ?何が違うんだ?相性という便利な言葉の一歩手前に、何か理由があるような気がするんだけど、それは一体なんなんだ。
昼も夜も、仕事をしていても頭の片隅にずっとそのことがあって、考えたり考えなかったりしながら数日過ごしているうちに、そのときは突然きた。パァーッと光がさすように、ドラマチックな感じで、わかったのだ。気づいてみれば、ああそうかそういうことかと納得するような簡単な答えだった。
それは、「伝え方」だ。好きなものや嫌いなものについて、どんな言葉を選び、どんなふうに伝えるか。わたしはその伝え方を見て、このひとのことが好きだな、このひととは合わないなと判断していたのだ。好きや嫌いの中身はさほど重要ではなかった。そうはっきり思えたとき、くすぶっていたものがすとんと腹に落ちるのを感じた。
ああそうか。だから、好きなものや嫌いなものがあまり似ていない夫と、毎日楽しく暮らせているのか。彼はわたしが好きなものや嫌いなものを否定しないし、無闇に比較してほかをけなすようなこともしない。そうか、わたしは彼の伝え方が好きだったんだ。その気づきはわたしを笑顔にするのに十分だったし、知らなかった自分をまた1つ知ることができてうれしくなった。生きていると、ときどきこういう発見があっておもしろい。
今週の献立帳(11/12〜11/18)
11月12日(日)
日曜恒例の書店巡りへ行く途中、ここ数日考えをめぐらせていたこと(冒頭のコラムに書いたこと)の答えがファーッと降りてきたので、やや興奮しながらその様子を夫に実況。苦笑いしつつもちゃんと聞いてくれるひとでよかった。いつもありがとう。
夜は皮から手作りした水餃子。夫が皮を成形し、わたしが包んだ。もちもちしていてとってもおいしい。ポン酢もいいけどバジルソースとレモスコの組み合わせもかなりよかった。手間はかかるけど、またやりたい。
昼:釜揚げうどん、えび天、いか天、ねぎ、卵
夜:手作り水餃子(バジルソース、ポン酢)、韓国風蒸し豆腐、雑穀ごはん
11月13日(月)
わたしは仕事が休みで、16歳は代休。18歳を駅まで送るついでに、少し遠めの安くて感じのよいスーパーへ買い物に行った。到着する寸前に18歳からLINEがきて、次に受講する講座の選抜テストに合格したことを知る。まったく期待していなかったので、最初はなんの話をしているのかちっともわからなかったんだけれど、意味がわかってからは小躍りしそうになるくらい喜んだ。だって学費の30%強を大学が負担してくれるんだもの。ありがたいことです。成績が特別よかったわけではないので、なぜ受かったのかは謎。
昼:水餃子、焼き餃子、韓国風蒸し豆腐、雑穀ごはん
夜:ごまさばの味噌煮、白菜とあみえびのオイル蒸し、切り干し大根煮、豚肩ロースとキャベツとじゃがいものオーブン焼き、卵とわかめのスープ、雑穀ごはん
11月14日(火)
寒い。寒いのでストーブをあたりまえのようにつけてしまう。今からこんなんで真冬を乗り越えられるのだろうか。
夜に焼いたチーズバゲットが太っちょでかわいかった。
昼:スーパーののり弁
夜:無水肉じゃが、マカロニサラダ、切り干し大根煮、わかめとえのきとたまねぎの味噌汁、雑穀ごはん
11月15日(水)
朝からクランベリーとチョコとくるみのカンパーニュを仕込む。
寒くなってきて室温じゃなかなか発酵が進まないので、ストーブの近くに座らせておく。ぼうっとしていると進みすぎちゃって、調整がなかなか難しい。それでもちゃんとおいしいバゲットやカンパーニュが焼けるんだからすごいなぁと思う。
午後から翌日分のバゲットを仕込みつつ仕事をする。夜になるにつれて、だんだんメンタルが下降していくのを察知。これはおそらく生理前のアレだ。
昼:肉じゃが、マカロニサラダ、切り干し大根煮、おにぎり
食べたら麩のハンバーグ
夜:麩のハンバーグ、ポテトサラダ、サニーレタス、豆腐と玉ねぎとわかめの味噌汁、雑穀ごはん
11月16日(木)
朝からメンタルがぴりぴり。いろんなことが嫌になってしまう。こういうときは全部書いたほうが楽になるとわかっているので、丁寧に順序だてて言葉にしてみたところ、やはり気が晴れたのか、じわじわと落ち着いていった。こうしたらいいとわかっていることは、面倒くさがらずにやったほうがいいね。
昼:海鮮トマトクリームソースのパスタ
夜:三色丼(鶏そぼろ、炒り卵、小松菜の蒸しナムル)、豚汁、ポテトサラダ、ひじきとベーコンの煮物
11月17日(金)
電書で水引の本を購入したので、今年はきちんと本を見ながらお正月飾りのしたくをすることにした。とりあえず梅大、梅小、梅つぼみの3つを作ってみたけど、去年より上手になっている気がする。クリスマスリースの前にお正月飾りのしたくをはじめているの、わたしらしくて笑える。
昼:買ってきた30%オフの味噌カツ弁当(写真なし)
夜:ビーフトマトシチュー、京紫大根のガーリック醤油ソテー、小松菜のオイル蒸し、バゲット
11月18日(土)
すっかりPMSの波は過ぎ去り、心おだやかな土曜日。昼は残っているビーフトマトシチューを食べよう、それならばパンがいるねということになり、朝起きてすぐにバゲットを仕込む。ストーブのそばで発酵させ、お昼ごろにちょうど焼き上がった。普通のバゲットはもう何も見なくても焼ける。クープは...まあご愛嬌。
我が家にはお好み焼きが大好きな夫とそうでもないわたし、という構図がある。家で作るお好み焼きってなんだかこう生地がずしっと重くて昔からそんなに好きじゃなくて。でも、神戸にいた頃、お店で食べたお好み焼きはおいしかったな〜と思い出し、今回は大阪風の作り方を予習してそのとおりにやってみたら、めーちゃくちゃおいしかった...!これならわたしも食べたいって思える。多少面倒でも、おいしいものを食べるためならがんばれる。
昼:バゲット、ビーフトマトシチュー
夜:お好み焼き
本棚から1冊
我が家のあちこちにある本棚から1冊を選んで紹介する「本棚から1冊」。今日紹介するのは、『せなか町から、ずっと』です。
これは最近購入したなかで一番気に入っている作品。斉藤倫さんのお名前は棚でよく見かけていたものの、実際に手に取って読むのはこれがはじめてでした。読み始めてまず思ったのが、非常に読みやすいということ。言葉と句点によって生まれるリズムが心地よくて、声に出して読みたくなる感じ。
この本には「せなか町」に住むひとたちの小さなお話が7編収録されています。ところどころにjunaidaさんのすてきな挿絵が入っていて、文章だけでなく目でも楽しめるのが魅力です。
作:斉藤倫
画:junaida
福音館書店
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朝の光を浴びるヨルくん
次の日日猫好日だよりは、11/26(日)に配信予定です。
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